独自の駆動機構「スプリングドライブ」
スプリングドライブには、さらに機械式にはない「磁石を使用した小さな歯車」(ローター)が含まれている。ゼンマイのエネルギーがこのローターに伝わって回転することで、磁束の変化が起こって電気が発生する。その電気エネルギーが、ボタン電池の代わりに、水晶振動子とIC回路を駆動する。
なに、このポルシェ博士的な時計(笑)
わからない人のために説明すると。
あのスポーツカーで有名なポルシェ博士、第二次大戦時代には戦車の開発にも携わっていて。
そのころに彼が好んで使ったのが『ガス・エレクトリック』という方式。
大雑把にいうと『ガソリンで発電機を動かし、その電気を使ってモーターで車体を動かす』というもの。
・・・発電機ってのは、要は『普通のエンジンにモーターをつないで、エンジンでモーターを回すことで電気を出す』モノなわけで、だったら『普通にエンジンつないで動かせばいいじゃないか(笑)』的な仕組み。
この時計も似たような香り:『ぜんまいで発電して、そこから水晶発振』というつくり、ですね。
仕組みとしては煩雑・二度手間的故に、複雑・デメリットもあるわけですが、メリットもあるわけで。
ポルシェ博士の戦車は、当時の技術力&戦車という条件では評判はあまり良くなかったようですが、
それでも『変速機なしで加減速できる』操縦性は悪くなかった様子。
この時計にしても、『ぜんまいで発電して、そこから水晶発振』につなげることで、
ぜんまい駆動・機械式のテンプでは限界のあった振動時間の精度を、大きく上げることができている。
まあこの時計の場合駆動自体はぜんまい動力、その制御だけを電子制御としているわけで、
うまいことハイブリッドしたな、という感じか。
・・・そう考えると、自動車というかそういうのの世界では、当たり前のことではあるかもね。
今の自動車は、基本はエンジン駆動だけど制御は電気頼りで、それを『エンジン経由の発電』で充当しているんだし。
それを時計サイズにねじ込んだのがすごい、というところか。
ご意見などがあれば。