日記/2011-05-28 の変更点

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**雑記:M:tG:フリースペルはなぜ失敗だったのか。 [#fab13c83]

[[先日>日記/2011-05-22]]の『LWでのコストゼロ魔法』の話絡みで。

TCGであるM:tG においても、しばしば『コストゼロ』の呪文が考慮され、さまざまな結果を残しています。~
その中で上記:1つの大きな失敗だったシステム、フリースペルについて、考察しておきます。~
友瀬が『同じような失敗をしない』ようにするための、考察、という位置付けです。

いちおーある程度『M:tGに詳しくない』人にもわかるようには書いたつもりですが・・・~
やはり根底を知らないと難しいところもありますし、そもそも長文です。~
わかりづらい部分もあるかと思いますが、ご容赦ください。

#region(→続きを読む。)

***解説のための基礎知識 [#q5f7f77a]

M:tG では、魔法を使用する際には、その燃料として『マナ』というものを消費する必要があります。~
どれくらいのマナが必要かは、魔法ごとに定義されています。~
おおむね、強い魔法ほどたくさんのマナを必要とします。~

そしてマナは、ゲーム中にプレイヤーが展開した『土地』から供給されます。~
1つの土地は原則的に『1手番中に1マナだけを供給する』ことができるものです。~

例えば土地を3つ出しているプレイヤーは、1手番中には、合計で3マナ分の魔法を使用できます。~
1マナの呪文を3つでも、3マナの呪文1つでも、かまいません。~
言い換えるとこの状態では、4マナ分以上の魔法は使用できない、ということになります。


***フリースペルとはなんだ? [#i396f061]

『見かけ上マナを消費しないで使用できる』魔法の俗称です。~
事実上『フリー==無料』で使用できるため、この名前になっています。

あくまで『見かけ上』なので、この魔法自体はマナを必要とします。~
例えば『3マナを必要とするフリースペル』は、3マナを使える状態でなければ使用できません。~
そのかわり、この魔法は使用されると、効果の一部として『使ってしまった土地を再利用できる』効果を発揮します。

『3つの土地から3マナを出して使用すると、その使った土地が再び使用できるように戻る』ため、
事実上『マナを使用していない状態』を作り出すことができるのです。~

***そのとき起きたこと。 [#e027fa3f]

結論から言うと、フリースペルは、当時のM:tG環境で大暴れをしました。~
大暴れした結果、エラッタと禁止・制限カードの山を築きました。~

以下、当時起きた悪用的なネタ。
-『一度に複数のマナを出すことのできる土地』との組み合わせ。~
フリースペルは『土地1つは1マナを出す』という前提の元でデザインされているので。~
この手の土地を併用することで無料どころか『実質マイナスのコスト』で使用できてしまうわけです。
-通常以外の『使用』方法。~
M:tG にはいくつか『マナコストを踏み倒す』方法があります。~
これによってフリースペルが使用されると、『土地復活』効果が過剰に動作してしまいます。
--例えばリアニメイトと呼ばれる手法では、『使用済みのカードを低いコストで直接場に出す』ことができます。~
2マナで『3マナのフリースペル』をリアニメイトすれば、差し引きで1マナ浮くことになるわけです。
-単純に、魔法の使用枚数が多くなる。~
普通に使用するだけでも、3マナしか使えない状態で、6マナ分の魔法を使用でき。~
さらに前述のような『マイナスコスト』を考慮すれば、7マナ以上の効果を得られるわけですから、そりゃそうでしょう。
--フリースペルといえども手札は消費してしまうので、限界はあるわけですが。~
『カードを入手できるフリースペル』があったのが問題でした。

上記のような状態から。
-大量のマナを供給できる土地は、使用禁止されました。
-リアニメイトなどの『手札以外から使用する方法』では、フリースペルの『土地復帰効果』は動作しないように、エラッタがだされました。
-カードを補充する機能を持つフリースペルは、それ自体が禁止されました。


***友瀬的に思うこと:悪かったのは? [#s200f924]

上記時代のさまざまな書評・評価では、フリースペルについては『マナ加速』の観点での論理が多かったと記憶していますが。~
友瀬個人的には、それ以外の、ちょっと違う感覚を持っています。

端的に言うと、フリースペルの効果自体が、強すぎたのです。~
フリースペルには『フリー化する==土地を再利用するマナ加速効果』と『魔法の主効果』の2つが記述されます。~
前者のマナ加速効果の強さはもちろんなのですが、魔法の主効果自体も、M:tG の常識を逸脱した効果をもっていた。~
そういう相乗効果も含めて、強すぎたのです。

フリースペルは、結果的に『マナを消費せずに使用できる』のですから。~
その魔法で実現される効果は、『土地を回復させる』部分を抜きにすれば『ゼロマナ呪文相当』でなければ、おかしいのです。~
しかし多くのフリースペルは、基本部分だけでも普通の『2マナ呪文』以上の効果を持っていました。

例えば、『巻き戻し/Rewind』というフリースペルは4マナ魔法ですが、その『土地戻し』以外の部分の効果は2マナの『対抗呪文/Counterspell』と同じ。~
この時点で『2マナお得』であり、そもそもバランスがおかしいわけです。~
別の例では、2マナフリースペルの『フェアリーの大群/Cloud of Faeries』。『1/1 飛行、サイクリング』というデータは、そもそも2マナ相当の性能。~
フリースペルになった分そっくりお得、といえるわけです。

この観点で見る場合、土地の再利用についても微妙なところがあります。~
通常、土地を再利用するような効果は、マナ加速が得意な緑ですら『土地1枚につき1マナ以上を求める』ような効果です。~
つまり『フリー化する』効果自体が、ある意味マナコスト相当以上の効果を発揮しているわけです。~

『フリー化する』効果が、マナコスト的にお得で。~
『魔法の主効果』自体が、マナコスト的にお得。~
そりゃあ、おかしな事態にならないほうがおかしい、でしょう。


***違う観点からの効率:キャントリップとの比較。 [#he8a1128]

M:tG では、魔法を使うには『マナと手札』が必要です。~
この観点において、フリースペルとは『マナを使わないで使用できる例外』です。~
そしてその対とも言える『手札を使わないで使用できる例外』に、キャントリップというものがあります。~
キャントリップは、『見かけ上手札を消費しないで使用できる』魔法の俗称です。~
それ自体は普通の魔法どおり『消費される』のですが、その効果の一部としてカードを1枚引くことができます。~
『一度消費するが、消費した分をリカバーする』という振る舞いが、フリースペルと類似しているのがわかると思います。

で、キャントリップのほうは、フリースペルとは異なり問題を起こしたことはありません。~
なぜか。~
キャントリップでは『手札を使わない分の代償』が妥当に支払われているためだと、友瀬は考えています。

キャントリップには、『魔法の主効果』と『カードを1枚引く』の2つが記述されます。~
そして使用のために必要なマナは、同等主効果を持つ普通の魔法よりも『2マナ程度重い』量になっています。~
言い換えると、『通常魔法と同じようにマナを使う』+『2マナでカードを1枚引く効果が付いた』形にデザインされているわけです。~
例えば『放逐/Dismiss』は4マナのキャントリップで、同じ効果をもった『対抗呪文/Counterspell』より2マナ余計に必要です。~

これを見た上で、フリースペルを見るとおかしいことがわかるでしょう。~
通常魔法と同じように手札を消費しているのは、妥当といえます。~
では、なにか『通常魔法よりも余計に消費している』ものはあるでしょうか?~
確かに通常魔法に比べて『使用のために大きなマナが必要』にはなってはいます。~
ですが、その『マナ』があとからキャンセルされるのですから、実際にはロスになっていません。~
つまり、バランスが悪いのです。


***どうすれば妥当な『無料』スペルができたのか。 [#z851649a]

単純に言ってしまえば。~
『マナ面でフリー』になった分、他の部分でつじつまを合わせるべきだったと思います。~
キャントリップが、カード面でフリーになった分、余計なマナを求めたのと同様に。

その観点である意味妥当なメカニズムが、M:tG にはすでにあります。~
ピッチスペルです。~
ピッチスペルとは、『通常のマナを支払う代わりに、他の何かを消費する』魔法の俗称。~
例えば『Force of Will』というピッチスペルは、マナを一切使用せずに『対抗呪文/Counterspell』と同じ効果を発揮できます。~
しかしそのためには、『別のカード1枚+体力1点』をマナの代わりに支払わなければなりません。~
キャントリップのバランス==『手札1枚は2マナ分くらいの価値がある』ことを考えると、なかなかの好バランス。~

また、『解体/Deconstruct』のようなタイプも、ある意味での成功例だったでしょう。~
これは3マナの魔法ですが、使用後そのまま『3マナが未使用状態』になるようになっていました:
土地を復活させるタイプのフリースペルとは異なり、複数のマナを出す土地を悪用することができません。~
またこの『解体』の場合は非クリーチャー呪文なので、リアニメイトなどの悪用もしづらくなっています。~
この場合、『ゼロマナなのに、主効果は数マナ分』という観点のバランスは悪いままですが、致命的なものとはされていません。




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ご意見などがあれば。
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