NOVAの『2入力1出力ゲームブック』 †
まずは、これを挙げなければならない(笑)
『LostWorlds/クイーンズブレイド』や 『Ace of Aces』で採用されているものです。
『2人がそれぞれ手を決めると、結果が出る』というのは、いわゆるゲーム理論では当たり前のメカニズムです。
が、これを『2冊の本に埋め込んでページで表現』するという点が、革命的なところ。
わかりますかね?
2入力1出力なので、その判定データ自体は普通『2軸の表』になるものです。
それを『ページ』と『そのページ内下部のリスト』との2軸で表現したのが、すごい I/F です。
複数ページにすることで、表よりもはるかに参照しやすくなっていると思います。
ちなみにLWシステムでは、『自分の行動番号のページ→相手の行動番号』と判定。
飛行機ゲーのAce of Aces では『相手の位置からの移動方向→自分の移動方向』というような判定になっています。
『積み木のナポレオン』のステップロス表現 †
ユニットがダメージをうけて、満額戦力を保持できなくなる『ステップロス』という概念があります。
これ自体もイノベーションと言える概念だと思いますが、その表現方法にもまた、いろんな手法があります。
作戦級くらいで一般的なのは『コマを裏返す』『別のコマに置き換える』ですかね。
この観点で特徴的手法をとっているのが AH の『ナポレオン』。
このゲーム、上記のようによく『積み木のナポレオン』と呼ばれています。
その理由が、コマ。
立方体を半分に割ったような、『厚みのある木のコマ』を採用しており、これが『積み木』のように見えることからこう呼ばれています。
で、特徴的な点について。
このコマには、その正方形面の一方の面に戦力が印刷されています。
そのうえで、この面を『相手から見えないように』コマを立ててマップ上に配置するようにしています。
つまり相手からは『敵はいるけど戦力はわからない』ようになります。
で、ここが特徴的なのですが。
このコマの敵から見えない面には、4つの辺寄りに、それぞれ戦闘力が印刷されます。
で、『現在の戦力』である辺を上になるように、置くようになっています。
戦闘などで消耗すると、コマを90度ずつ回転させます:上になる辺が変わり、戦力も低下した値になるわけです。

最大4段階のステップロスを表現できること、および情報の隠蔽も行えるという、面白い仕組みだと思ってます。
ちなみに、タイトル失念しましたが、同様のメカニズムを用いたファンタジー系ゲームもありました。
UpFront、プレイカードに埋め込まれたランダマイザー †
カード自体を乱数として利用するということは、トランプの時代からあるものです。
例えば『赤か黒か』とか『ハイorロー』とか、指定してデッキの一番上をめくるような。
UpFront は、これを極端に進化させたカードを採用しています。
どれくらい進化させているかというと、コンポーネントにある162枚のカードには、以下のような多数の乱数発生器が埋め込まれています。
- 『赤or黒』の50%乱数
- +6〜-6の正規分布乱数
- いわゆる『1D6』的な(ほぼ)均一乱数10種類(1D1〜1D10)
- 10段階の『赤or黒』判定。
具体的な確率は忘れましたが、例えば『赤が30%』というようなもの。

画像はBoardGameGeekから参照抜粋の上、友瀬がコメント記載しています。
https://boardgamegeek.com/image/211882/front?size=original
こんなにあると使い分けが難しいのでは、とか感じるでしょうが。
これらを使って、例えば『砲撃の判定は、正規分布乱数で絶対値1以上出たら命中』『ただし車両の移動中射撃は、マイナス値だとはずれ』とか。
『5人いるチームのうち1人をランダムに選ぶときは1D5欄を見る』とか。
使い方はかなりシンプル・直感的にまとまっていると思います。
さすがに例えば「162枚で1D4しようとすると、4で割り切れないから、多少偏る」というようなこともあるにはありますが。
普通に遊ぶ分には気にならない範囲でしょう。
Car Wars、移動テンプレート。 †
これはもしかすると、同じ発想でもっと古いゲームはあるかも。
Car Warsは『自動車』同士の戦闘を描いたアクチュアルゲーム。
自動車らしい移動を表現するために、例えば・・・
- 旋回角度15度だと、ほぼリスクなく安全に曲がれる
- 旋回角度45度だと、意図しない横滑り(ドリフト)をしてしまう可能性が高い
- 旋回角度90度だと、ドリフトどころではなく、横転するくらい危険
・・・というように、どのような機動をするかが重要な要素になっています。
いわゆるアクチュアルゲームにおいては『移動力nセンチメートル』とか定義して定規で移動させるのが一般的ですが。
上記のように『角度』が重要な Car Warsでは、このために専用のテンプレートを提供しているのが特徴です。
このテンプレート、『角ばらせた雲形定規』のようなもので、いくつかの角があり。
これにコマを沿わせて動かすことで例えば『15度回転』『45度』『90度』というような、多段階の旋回を無理なく定義・実施でき。
さらに、その旋回を実施したときにどれくらいの無理・危険があるかのパラメータも併記されています。

画像はBoardGameGeekから引用トリミングしています。
https://boardgamegeek.com/image/987011/car-wars
Wings of War/Dawn of War、移動カード †
上記、Car Wars の流れを汲んだ『テンプレート』の進化系。
『次の行動をカードによってプロットする』という比較的よくあるモノとの、うまい融合、でしょうか。
このゲームでは、コマである『航空機』の行動をカードで『プロット』します。
で、そのプロットするカード自体がそのまま、CarWars的『移動詳細のテンプレート』になっている、というのが特徴です。
カードには『移動開始前の位置』と『移動完了後の位置』が印刷されていて。
地図上のコマをこのカードにあわせて移動させるわけです。
ちなみにこれにもバリエーション的なゲームがあって。
ハリーポッターの箒での飛行用に使われているのがあったはず。
ご意見などがあれば。