囚人のジレンマについて詳しく説明するのもアレではありますが。
21つの事件の共犯である2人の囚人が互いに相談することのできない状況で、
『自白するか否か』を判断する状況で発生する、考え方・課題の1つ。
- 両方が自白すると、重い罪となる。
- 両方が黙秘すると、証拠不十分、軽い罪ですむ。
- 一方だけが自白すると、自白した者は保釈・黙秘した側は極めて重い扱い。
表にするとこんな感じ。マイナス値が懲役刑期間。
| 囚人A自白 | 囚人A黙秘 |
囚人B自白 | 両方-5 | Aは-10、Bは-0 |
囚人B黙秘 | Aは-0、Bは-10 | 両方-2 |
これのポイントは、囚人Aからみると囚人Bがどう出ても、『自白のほうがお得』だということ。
相手が黙ると考えるならば、自分が自白すれば-0なのに対して黙れば-2、自白したほうが 得ですよね。
相手が自白と考えるならば、自分が自白すれば-5なのに対して黙れば-10、よって自白したほうがお得。
わかるように、本当は互いに協力して『黙秘』するのが、それなりに幸せな落としどころなのですが。
で、歩きスマホって、これに似てるな、と思ったわけです。
どういうことか、というと。
避けなければすれちがえない道で。2人の人間が互いに逆方向・近づくように歩いているシーンで、
黙秘を『歩きスマホする』、自白を『やらずに歩く』と考えてみてください。
お互いに普通に歩いていれば、互いにちょっと避ける(互いに軽微な損害)で普通に歩ける。
片方が歩きスマホだと、普通に歩いている側だけが大きく避ける(やってない人だけが損害)。
互いに歩きスマホだと、正面衝突(互いに大きな損害)。
囚人のジレンマと違うのは、おそらくそれぞれにおいて受ける損害に、差がありそうということ。
おそらく、普通の人は相手にぶつかることは避けたいと思う。
表で書くとこんな感じ。
| Aスマホする | Aしない |
Bスマホする | 両方-100 | Aは-5、Bは+5 |
Bしない | Aは+5、Bは-5 | 両方-2 |
先ほどのケースと違い、相手が『歩きスマホする』前提に立つと、自分はしないほうがいいのが違い:
互いにすると-100、しなければ-5で済むので。
一応相手が『しない』前提ならば自分はしたほうがいいのですが、万一を考えると-100は怖すぎるわけです。
ところが、上記の記事の中には『危ないとも思わない』という人がいます。
もしBの人だけがこういう価値観だと、表はこんな感じになります。
| Aスマホする | Aしない |
Bスマホする | Aは-100、Bは-5 | Aは-5、Bは+5 |
Bしない | Aは+5、Bは-5 | 両方-2 |
これではBは歩きスマホしない理由がありません。
相手とぶつかったって、大した損害じゃないのですから。
ただ、この考え方はあまりに近視的だとは思った。長期的なことがなにもない。
ゲーム理論では、繰り返しゲームと一回のみゲームではいろいろ価値が違う。
囚人のジレンマでも一回ゲームでは裏切りがベストだけど、繰り返しでの場合は互いに黙るのがよいとされる。
こういうわずかな『配慮』が、世界を潤滑に回している、と思う。
ご意見などがあれば。